this and that…

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日本語は効率的でフランス語は非効率的な言語?-J'ai assisté à la cérémonie de remise des diplômes du collège-

新年度になり、国内の各所で桜が見頃を迎えている。

アプリでやり取りしている海外の皆さんも、

Je suis allé voir les cerisiers en fleurs! (きれいに咲いた桜を見てきたよ!)

と、桜の季節の到来を喜んでいる。

 

そんな時期にちょっと場違いかもしれないが、卒業式の話をしたい。とはいっても、卒業式の内容に関する話題ではなく、「中学校の卒業式」をフランス語にすると長いという話である。

 

「中学校の卒業式」はフランス語だと、

la cérémonie de remise des diplômes du collège

と言う。

「中学校の卒業式に出席した」だと、

J'ai assisté à la cérémonie de remise des diplômes du collège.

※「出席する」は assister à qc

と、非常に長い...

卒業式の話をするたびにこれだけの長い単語を口にしなければならないことが億劫だと感じていた際に、ふとフランス語の単語や表現の中には妙に長いものが結構あることに気がついた。

 

例えば、数字の98は、

quatre-vingt-dix-huit

だし、

残業は

heures supplémentaires 

※「残業する」faire des heures supplémentaires 

だ。

 

もう文法的な視点で見ても、フランス語は1文の中にあれこれと様々な要素が入りこみ一文が長くなりがちな一方で、日本語の場合は主語が欠落する等不必要な情報が割愛されることで、驚くほどに文章が短くなることがある。

例えば、

「今日私は病院に行く」という文章は、主語が欠落し、「今日病院に行く」になる。

 

これを「98回残業する」という内容にすると、

「これまで98回残業をした」

フランス語では…

「J'ai fais des heures supplémentaires quatre-vingt-dix-huit fois.」

となり、書いても読んでも約2倍のスペース/時間を要する。

 

これは非常に大きな差だ。

フランス人は残業を嫌うというが、その要因が実はここにあるのではないかと疑ってしまうくらい、読むのも書くのも面倒だ。

 

ここだけ切り取ると、日本語とフランス語を比較した場合、日本語が圧倒的に効率的な言語のように見える。もちろん、日本語の方が優れていると言いたいわけではないが、何かと曖昧で難解なイメージがある日本語は、世界的に話者が多くリズムも軽やかな英語やフランス語に比べるとどこか頼りない印象もあるが、実際はこのような形で我々の生活を楽にしてくれていた。

もちろん、フランス語の明確さは魅力的だし、関係性構築や会話そのものを楽しむという観点から見れば短時間で言いたいことを伝えるより長々と時間をかけて伝える方が有効だったりもする。

 

言語はその国の文化から影響を受けてその特徴を獲得していくものではないだろうか。もしそうだとすると、日本語の曖昧さや効率性にも、フランス語の長々とした表現にも、背景に何か美学が隠れているのかもしれない。そしてそれが何か想像してみることも、面白そうである。